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2005年09月21日

国連改革にさまざまな反応 BBC


分析 
BBCニュースウェブサイト ニューヨーク環境特派員
リチャード・ブラック
2005年9月17日(土)

人によっては「歴史的」、人によっては「ひど過ぎる」

 3日間の会談の終わりに正式に採択された国連サミットの成果文書は、内容が多様であったため、さまざまな反応があったのは驚くべきことではないかもしれない。
 ベネズエラのウゴ・チャベス大統領による閉幕演説が、おそらく最も痛烈な批判を含んでいたといえる。彼は成果文書を「闇の中で着想され、暗がりの中から表れた」と表現した。
 同大統領は、ベネズエラの懸案事項は、実行可能な妥協案を見つけ出すためのサミット直前の3週間の激しい交渉の中で、無視されたと述べた。
 しかしキューバとベラルーシが同大統領の意見を支持したにもかかわらず、ヤン・エリアソン国連総会議長が成果文書の採択を知らせる小槌をたたいたときには、全員が拍手喝采した。同議長は、成果文書が「2015年までにミレニアム目標を達成するという私達の約束を再確認するものだ」と述べた。

原文:
UN reforms receive mixed response
Analysis
By Richard Black
Environmental Correspondent, BBC News website, New York
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/americas/4255106.stm


目標から目をそらす?

 世界の最も貧しい地域における貧困の削減、健康、教育、環境に関するミレニアム開発目標(MDG)について評価することが、今回のサミットのもともとの目的であった。
 しかし世界の強国がそのような会合を貧困と開発の問題だけに費やそうとしないのは今に始まったことではない。

「貿易に関して、成果文書は非常に残念な結果」         ボブ・ゲルドフ氏
 
 2004年12月に米国連邦議会によって委託され作成された、「米国の利害と国連改革(US Interests and UN Reform)」という表題の報告書では、国連は変革を必要としている、国連はテロリズムについてつぶさに監視する必要があると結論づけている。
 コフィ・アナン国連事務総長は明らかにこれに同意し、この2つの課題を、彼の報告書「より大きな自由(Larger Freedom)」の中で優先事項として設定している。同報告書は、今回の成果文書の基礎となったものである。
 35ページの成果文書は、人権、民主主義、平和構築、災害への対処、持続可能な開発にわたっている。
 アイルランド人のミュージシャンで貧困克服の活動家であるボブ・ゲルドフ氏は、いかにも彼らしい荒々しい表現方法で、この状況を「ひど過ぎるってもんだ」と話した。
 「このサミットの本質は、ミレニアム開発目標の進展――もしくは進展のなさ――を評価することだったはずだ。なのに改革に焦点を当てることになった。こりゃあスキャンダルだよ」と彼はBBCニュースウェブサイトに話した。

貧困削減

 では国連事務総長は何を要求し、最終的に同サミットの最後で何を得たのだろうか?
 開発に関して、アナン氏は以下を要求した。

・ 極度の貧困を抱える各途上国は、2006年までに、2005年のMDG目標を達成できるような、大胆な国家開発戦略を採択し、開始するべきである。サミットでの決定:全面的に承認。
・ 各先進国は、まだの場合、2015年までに、政府開発援助を国民総所得の0.7%に引き上げるためのスケジュールを設定するべきである。サミットでの決定: 0.7%目標を達成するという何カ国かの先進国(特にEU)による公約が「歓迎」された。その他の先進国に対する目標達成の圧力はなし。
・ 貿易交渉のドーハラウンドは、その開発に関する約束を満たすべきである。またそれを2006年までに完結させるべきである。第一段階として、加盟国は、最貧困国からの全ての輸出に対して無税・無枠の市場アクセスを提供するべきである。サミットでの決定:ドーハラウンドと無税・無枠のアクセスに「取り組む」。

 世界の最も貧困な国家の一つを運営している、ニジェールのハマ・アマドゥ首相は、否定的である。
 「2~3年前、先進国はいくつかの約束をした。しかしそれ以来、実施された具体的な行動はほとんどない」と彼はBBCに対して話した。
 「私達はたくさんの素晴らしい演説と素晴らしい決議を聞いてきた。しかし私達は深い疑いを抱いたままだ。今こそ、素晴らしい演説ではなく行動を起こすときだ」。
 ゲルドフも不満げである。「貿易に関して、成果文書はとても残念な結果だ。僕らがグレンイーグルズ(のG8サミット)でやったことを取り戻してしまったんだ」と彼は話した。
 
テロリズムの問題

 しかし、ジョージ・ブッシュ米大統領は、「米国は、他の国々が同じようにするならば、物品とサービスの自由な流れに対して、全ての関税、補助金、その他の障壁を廃止する用意がある。」という彼の発言に、全面的な賛同を勝ち取ってしまった。これは、欧州連合の共通農業政策を明らかに指した発言である。
 テロリズムに関して、アナン氏の見解は、各国が包括的な対テロ戦略に全力を傾けるべきだというものだった。
 サミットでは、「いかなる形態・徴候であっても、誰が、どこで、何の目的で犯すものであっても、テロリズムを糾弾する」ことが同意された。
 トニー・ブレア英首相に扇動されて、国連安全保障理事会もまた、ここで「いかなる形態の」テロリズムも糾弾するという決議を採択した。
 「決議は何の影響力も持たないだろう」。アフリカ民族会議(ANC)の元活動家で、現在は市民社会組織のシビカス(CIVICUS)の議長を務めるクミ・ナイドゥー氏は話した。
 「テロリズムに定義はない。そしてある人にとってのテロリストは他の人にとっての自由の闘士であるという事実が今でもある」。
 近年活発な全てのグループの中でも、ANCはおそらく武装闘争に関する見解を長い間二分してきた例としては最適のグループであろう。
 ANCは、かつて西側の政府にテロリストグループと見なされていたが、今では南アフリカの正当な選挙で選ばれた政府であり、ネルソン・マンデラ氏は世界の真に象徴的な人物となっている。
 「もしその国の民衆が社会に利害を持つことができないのならば――ネルソン・マンデラが1960年に話したように――『その国の政府に理解させるには暴力しかない』のだ」とナイドゥー氏は話した。

核不拡散

 核不拡散については、アナン氏は核保有国に対して、さらに非戦略核兵器の保有量を削減するよう強く求めた。サミットの決定:この課題には触れない。
 アナン氏はこれを激しく非難した。
 「今年2回――核不拡散防止条約再検討会議と今回のサミット――、私達は成果を妨害するという方針を採ることを許してしまった」と彼は開幕演説で述べた。
 「これは許されないことである。大量破壊兵器は深刻な危機を私達全員にもたらす」。
 
平和構築に関しては、アナン氏は加盟国に政府間の平和構築委員会を設立するよう求めた。サミットでの決定:この要求は採択された。
 日本の小泉純一郎首相は、他の何人かの首相と並んでこの決定を称賛した。彼は、この新たな機関が「停戦から国造り、和解、正義、復興にスムーズに移行できるように、イニシアチブを発揮しなくてはならない」とコメントした。

「この公約は明快であり歴史に残るものである」人権侵害の決議に関してオックスファム代表のニコラ・レインドープ氏

 人道に対する罪に関して、事務総長は、国際社会が「保護する責任」の原則を大虐殺、民族浄化、人道に対する罪に対する共同行動の基礎として承認することを求めた。
 サミットの決定は、国際社会が、人々を大虐殺、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する犯罪から保護するよう助力する責任を持つということだった。
 「この公約は明快であり歴史に残るものである」と、ニューヨークのオックスファム代表のニコラ・レインドープ氏は話した。
「今日、私達は世界のリーダー達が彼らの一般市民を保護する責任に合意したことを称賛したい」。
 「過去の大虐殺の後、そのたびに世界のリーダー達は『もう二度と』と言ってきた。そして今やっと、世界は『もう二度と』という言葉は『もう二度と』を意味するべきだということに同意した。このことは、ルワンダの大虐殺のような悲劇を過去のものにするのに役立つ可能性がある」。

 人権に関して、アナン氏は国連人権委員会を、そのメンバーが直接総会によって選ばれる、より小規模で常設の人権理事会に置き換えることを提案した。
 サミットの決定は、その理事会を設立するということだったが、その規模や組織については決定されなかった。
 ここでは組織が実際の論争となる課題である。米国とその同盟諸国は現在の委員会を嫌っている。同委員会が、彼らの意見でいうと人権に関してひどい経歴を持っている国々を、含めることができるからである。
 しかし、いくつかの国々は、彼らからすると自分達を国連の人権に関する制度から排除することを狙っていると考えられる動きに対して、反対している。
 「真の独占、独裁的なコントロールが待っていることを私達には前もって予測できる」とチャベス氏は話した。

国連の「上座」

 国連安全保障理事会の改革に関して、アナン氏の見解は、現在の世界の権力の現実を広く代表した機関であるべきだというものだった。そして、改革のための2つの提案があり、加盟国は2005年9月のサミットまでにこの重要な問題に関する決定を行うことに同意するべきだというものだった。
サミットの決定:「私達は、より広い範囲を代表できるようにするために、安保理改革を早期に行うことを支持する。私達はこの目的を達成するために、決定に達するための努力を続けることに全力を挙げる。」
 ブラジル、ドイツ、インド、日本といういわゆる「G4」の常任理事国入りによる拡大が嫌がられている原因の少なくとも一部には、地域的なライバル意識がある。
 インドのナトワル・シン外務大臣は、この提案は100以上の他の国々から支持を得ており、今後いつか再度国連に持ち込まれるだろうと話した。
 「この会談後、私達は非常に大きな自身を得た。そして、私達の目標に向かって、休むことなく行動していくつもりである」と彼は話した。

「この会談後、私達は非常に大きな自身を得た。そして、私達の目標に向かって、休むことなく行動していくつもりである。」安保理改革について、インドのナトワル・シン外務大臣
 
今回決着がつかなかったいくつかの課題に関しては、明らかに次のステップが待っている。
 例えば、貿易の自由化に関しては、12月に香港で開催される、次回の世界貿易機関のドーハラウンド会議において議論される。
 その他の課題は国連に持ち帰られることになる。
 ミレニアム開発目標そのもの――このサミット全てのもともとの目的――に関しては、進展は寄せ集めのものであり、サハラ以南のアフリカ諸国は特に遅れを取っており、この3日間の議論がこれを変えるための具体策をもたらしたかどうかはまったく不明である。

投稿者 ほっとけない*** : 2005年09月21日 17:57

 
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