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2005年09月16日

ニューヨークから:国連サミットと市民社会 No.2

今回の国連ワールド・サミット開催にあたり、「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンでは実行委員の稲場雅紀(アフリカ日本協議会)を現地ニューヨークに送っています。『アフリカの市民社会を、いわゆる開発文脈からのみでなく、政治的な文脈、歴史的・経済的な文脈で知っていくこと、先進国の市民社会の側も、積極的にこう
した文脈を理解していくことが必要なのだと改めて気づかされているところです』と現地レポートで結んでいます。


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ニューヨークから:国連サミットと市民社会
No.2 (執筆:稲場雅紀)
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先日は、14日に開幕した国連サミットの現状と成果文書の進み具合について述べました。今日はまず、国連サミットに向けた市民社会の動きについて述べたいと思います。

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1.もりあがる海外のアクティヴィストたち
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国連サミットについて、一番熱心に、かつ盛り上がって迎えているのは、もちろん国際的なアドボカシー活動を行っているNGOのアクティヴィストたちです。
G8サミットおよび国連サミット、そして12月に香港で行われる世界貿易機関(WTO)の首脳会議は、「貧困問題の解消」にむけて取り組む世界のアクティヴィストたちの取り組みの軸となっています。この取り組みの中心となっている国際的なネットワークが「GCAP」(Global Call to Action against Poverty)です。

世界的規模のNGOであるオックスファムとアクション・エイドが中心となりつつ、貧困に現場で取り組む途上国の数多くのNGOと連携して、貧困をなくすために政府や国際機関、国連などに働きかける活動を展開しています。
今回の行動で特徴的なのは、アフリカから数多くのNGOアクティヴィストたちが連携して参加していることです。アフリカからの参加者は「アフリカ・コーカス」というグループを作り、ケニア、ウガンダ、ナイジェリアからニジェール、セネガルといった国々まで含めて、多くのアクティヴィストが参加して声を上げています。85歳にして初めて小学校に通うことができた、世界最高齢の小学生キマニ・ンガンガさんも、初等教育の大切さを訴えるためにニューヨーク入りしています。
GCAPでは、毎日9時からと夜7時30分から、その日に起きたこと、明日の活動予定などをブリーフィングするミーティングを欠かさず行っています。このミーティングには誰でも参加することができ、このミーティングで決まった方針に基づいてプレスリリースやアドボカシーの戦略が作られています。国連サミットの会場にみんなで入ることができないという制約状況を何とか突破して、成果を挙げるべく、多くの人々ががんばっています。

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2.もりあがらない米国の国内運動
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一方、米国の国内運動はあまり盛り上がっているとはいえません。ニューヨーク中心街では、3日間通して、二つのイベントが行われています。一つは国連本部の近くにあるダグ・ハマーショルド・プラザ周辺で、3日間ぶっ通しでの集会が行われており、もう一つは、マンハッタン南部のユニオン・スクエアで、通行人の人々に国連サミットに向けた声を集めるイベントが、これまた3日間ぶっ通しで行われています。
私はこの二つのイベントを見に行きましたが、いずれも、あまり人が集まっているとは言えず、物寂しい雰囲気でした。ハマーショルド・プラザ周辺は、人数という点では非常に多くの人々が集まっており、騒がしいのですが、よく見ると、「世界の貧困の解消」とは直接関係のない別の集会がたくさん行われており、「貧困解消」の集会はそれらにかき消されかねないような感じです。
私が行ったときは、貧困解消の集会の隣で、セネガルのワッド大統領を支持するセネガル人たちと、ワッド大統領に反対するセネガル人たちが、相当な人数で、民族衣装を着飾って集まって、お互いいざこざを起こして騒いでおり、その隣には、イランの左翼反体制派であるイラン労働者共産党(Workers
Communist Party in Iran)と、同じく左翼反体制派であるイラン人民ムジャヒディン機構(PMOI: People's
Mujahedin Organization in
Iran)の人々が、こちらは仲良くイランの人権侵害反対を訴えています。この人たちの人数が一番多く、数百人はいます。さらに、そこに中国の法輪功の人たちが、中国政府による弾圧に抗議するビラを配布しており、本当に騒然としています。貧困削減の集会はこれらに埋没してほとんど目立たないといった状況でした。
一方のユニオン・スクエアの方も、青空市場の中にちょっとしたテントのようなものを作ってパフォーマンスをするということなのですが、このテントのようなものも出来上がったばかりで何なのかよくわからないといった状況です。アメリカはあまり盛り上がっていないようです。
先日のハリケーン・カトリーナの被害は、米国国内の貧困問題を如実に世界にアピールしましたが、国内に深刻な貧困問題を抱える米国では、「世界の貧困を解消しよう」と言っても、リアリティが沸かないのかもしれません。

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3.アフリカからの活動家の言葉
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さて、GCAPに参加しているアフリカのアクティヴィストの人たちに、手当たりしだいにインタビューをして、「日本の人々と政府に、何かメッセージを寄せてください」と聞いてみました。とりあえず3人の人に聞きましたが、みんな、なかなか味のある答えを寄せてくれました。

まずはサハラ南縁の国ニジェールで労働組合の運動を指導しているシディベ・スーフーさん(Mr. Sidibe
Ssoufou)。連合の招きで日本に来たことが一度ある方です。彼は、「日本政府の支援にはとても感謝しています。ただ、現在、ニジェールと日本の関係は政府間に限られており、市民社会同士の関係があまりないので、それを強化してほしい」と言っていました。労働組合同士の関係はあるわけですから、あとはNGO同士の関係が切り開けるかどうかが大切だといえましょう。

次に、ウガンダで国際NGO「持続可能性監視ネットワーク」(Sustainability Watch
Network)で働くハッピー・ジェイムズさん(Mr. Happy
James)。「ウガンダの人々、アフリカの人々はすすんで貧困を作り出したわけではありません。ところが、いつしか、自分たちが貧困のうちに沈んでいることに気づいたのです。日本の政府・市民の皆さんは、苦しんでいる人々を助けるために貢献することが、何かあるはずです」。なかなか意味深なコメントです。

よりストレートなコメントをしてくれたのが、オックスファムのセネガル事務所で働いているムタニ・ムリさん(Ms. Muthani
Muri)。「強制的な経済自由化政策は、いかなる意味でも平等をもたらしません。すべての発展途上国、とくにアフリカは、自分たちの文脈において何が機能するのかをためし、決定するための政策的な空間を必要としています。世界システムに統合されるということが、これすなわち永遠の周縁化を意味すると言うことであっていいはずがありません」。

私は主にHIV/AIDSの文脈からアフリカの市民社会運動を見てきましたが、アフリカの開発、発展、自立、独立という観点からアドボカシー運動にかかわっているアフリカの人々が、自らの状況を的確に把握し、自らの戦略に沿って世界的なアドボカシー運動を展開しようとしていることが改めてわかりました。アフリカの市民社会を、いわゆる開発文脈からのみでなく、政治的な文脈、歴史的・経済的な文脈で知っていくこと、先進国の市民社会の側も、積極的にこうした文脈を理解していくことが必要なのだと改めて気づかされているところです。

稲場 雅紀

投稿者 ほっとけない*** : 2005年09月16日 14:31

 
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