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2005年09月15日

ニューヨークから:国連サミットと市民社会No.1 (執筆:稲場雅紀)

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■ニューヨークの国連サミット
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 現在、9月14日から16日まで開催される国連2005ワールド・サミットの件で、「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーンの派遣でニューヨークに来ています。こちらに到着したのは12日の夕方。ニューヨークの嫌なところは、東京から12時間かけて到着すると、東京を出たときとほぼ同じ時間に到着するところです。今回も、12日の4時に離陸した飛行機がニューアーク空港についたのは同じく12日の4時でした。

 国連サミットについては、「ほっとけないキャンペーン」も所属している世界規模のネットワーク組織「GCAP」(Global Call to
Action against Poverty)の主要な人たちが、すでに1週間ほども前からニューヨークで準備を重ねています。私の仕事は、そこに入って、日本のメディアに、今回の国連ワールド・サミットに関する市民の取り組みなどについて紹介し、少しでも記事にしてもらう、ということです。
 関係者がたくさんおり、すでに担当などもあらかじめ決まっている状況で、私としては、「誰が何をしている」というところから覚えて、なんとか仕事ができるところまでキャッチアップしていかなければなりません。これがきついところで、それだけのために1日が過ぎていきました。

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■市民社会の問題意識
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 今回のサミットについて、市民社会は大まかに言って以下の点を問題にしています。

(1)市民社会の参加がないこと:今回のサミットでは、市民社会の代表として入場を認められている人は若干いますが、成果文書などに意見を反映するような権限は認められていません。これは、最近の国連の特別首脳会合などの場ではかなり珍しい状況です。本来、政府や民間営利セクターと対等な位置関係にあり、途上国では貧困削減にもっともおおきな役割を果たしている市民社会がすみに追いやられるということで、怒りを強く感じる次第です。

(2)成果文書の中身の後退:このサミットで採択される予定の成果文書は、8月5日に国連総会のピン議長(ガボン外相)から示されましたが、これに対して、米国でブッシュ大統領の信任によって国連大使となったボルトン氏が文書の修正案を示したのですが、驚くべきことは、ボルトン大使が示した改定案は、「ミレニアム開発目標」という言葉それ自体が消されるという突拍子もない案でした。もちろん、ODAをGNIの0,7%に上げるといった具体的な数値目標があるところは、全て消されていました。
 その後ピン議長が30カ国からなるコア・グループを組織し、原案と改定案をちょうど調停していくような形でさらなる改正案作りの取り組みが進みました。結果的に、いくつかの表現が復活しています。しかし、実際の会議でどうなるのかが微妙なところです。結局、この改定作業によって、当初ははっきり明記されるものと思われていたさまざまな課題で大きく交代することとなりました。これにより、GCAPのメンバーたちは「貧困の解消に向けて歴史的な一歩を踏み出せるところだったのに、結局、壮大な無駄に終わるのではないか」と懸念しています。

 一方、このサミットについて注目されることとして、国連の機構改革や新設の側面があります。日本では「日本が国連安保理の常任理事国になれるか」ということばかりが注目されてきましたが、実は、旧来の国連人権委員会に変えて「人権理事会」を設置するとか、紛争地の平和定着に関する政策立案やアドバイスをしていくために「平和構築委員会」(Peacebuilding
Commission)を設置したりするといった、より地球全体にかかわる機構改革が提案されています。
 また、開発の分野で注目されるのは、これまでドナー国の自発的な協力に頼っていた開発援助について、特に感染症や予防接種の対策で充分な資金が必要となっています。そこで、フランスが国際航空税、英国が国際金融ファシリティ(簡単に言うと、将来のODAを債券を発行することで先取りしていこうという考え方)を提案していますが、今回のサミットの成果文書では、こうした新規資金創出のための新たな制度作りについて、高い評価とともに言及されているのです。

 HIV/AIDSなど感染症については、若干の後退はありますが、それほど致命的なものはないのではないかと思われます。2010年までに、途上国で必要な治療を包括的に実施できるようになる、という、この6月に開催されたG8財務相会議での目標は、「出来る限り努力する」という文面がついてしまったことで少し後退しましたが、一方、エイズ教育や予防啓発、ケアサポートなども包括的に保障すべく努力する、という文言が入れられ、中身の面では充実したものになったともいえます。また、2000年に制定されたミレニアム開発目標でははじかれた「リプロダクティブ・ヘルス」(性と生殖に関する女性の健康)についても、はっきりと述べている点も評価できるところです。

 このように、良い点と問題点を併せ持つ現在の成果文書草案ですが、これがどういう形で最終的に採択されるのかが注目点です。よい記述のところは、たいてい、変更する可能性があるところということで指定されており、厳しい攻防も予想されます。

 次号では、サミットと平行して行われている、市民社会のイベントの状況などについてお伝えしたいと思います。

アフリカ日本協議会
稲場 雅紀

投稿者 ほっとけない*** : 2005年09月15日 18:33

 
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