5月26日「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーン立ち上げの集い報告

なぜ2005年のいま「貧困」なのか、世界はどう動いているか

 5月26日渋谷勤労福祉会館にて「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーン(以下、ほっとけないキャンペーン)の立ち上げの集いが開催され、160人を超えての参加がありました。このキャンペーンは、国際的なG-CAP(Global Call to Action against Poverty)運動を日本でも広めようとするNGO連合によって準備されてきました。
 この集いでは、問題提起として国際問題評論家の北沢洋子さんからスピーチしていただきました。このお話しを報告します。なお、全体の報告は後日行います。


1)なぜこのキャンペーンか 

「ミレニアム開発目標(MDGs)」はもともと2000年9月の国連総会でほっとけない状況の貧困について世界が最大限の努力をしていこう、2015年という期限を設けて解決していこうと言うことで、先進国中心にいわば開き直りのような開発目標を作ったものです。
その前提としては、グローバリゼーションで情報・通信は発達し世界は便利になったけれど、この恩恵を受けられる人は世界ではほんとうに少数で、現実には15億人、つまり世界の4人に1人はほっとけない貧困状態にあるのです。貧しいというけれど、並大抵の貧しさではなく、1日の摂取カロリーが1200カロリー以下の人たちをいい、これはもう寝てないといけない状態なのです。そういう飢えた状態で、安全な飲み水もなく、したがってちょっとした下痢で死んでいく、とくに子どもたちが次々に死んでいっています。
さらに学校に行けず、読み書きができないから仕事があってもつけなくて、あらゆるチャンスを奪われています。絶対的貧困の存在、つまり人間が生きていくための最低限必要なニーズを奪われた人たち、こういう人たちが15億人もいるということですね。
ところで、MDGsは2015年までに現在の貧困を半分にしようというものです。私はこれに反対である。どうして半分なのか、後の半分はどうなるのか。そういう思いはあります。



北沢洋子さん

2)なぜ2005年、そのダイナミズム

 ともあれ、2005年のいまなぜ「貧困」なのでしょうか。2015年まであと10年しかないのに取り組みが遅れています。なぜ、遅れたのか。その理由は、ミレニアム総会の翌年に起きた9.11事件によって方向が転換されてしまったことにあります。つまり、米国ブッシュ政権はテロとの戦争ということで、世界が反テロ同盟の様相を示してしまい、たいへん時間をつぶしてしまいました。本来なら、この貧困問題キャンペーンはとっくに行われていなければならなかったのですが、テロには戦争でということでイラク戦争までいってしまいました。世界の軍事派――ブッシュ政権やブレア英国首相そして小泉首相など――は、サダム・フセインを倒した頃までは世界の主流でした。
ところが、今また異変が起こったのです。1月のスイス・ダボスでの世界経済フォーラムで、ブレア首相が「貧困の根絶を」と叫び始めました。そこでブレアと世界一の金持ち(いわば世界の貧困を作り出した張本人)であるビル・ゲイツ、それにロック歌手のボノのいわゆる3Bが記者会見をして貧困問題を訴えたのです。すごい方向転換といえますね。
よく考えてみると当然と言えるのではないでしょうか。というのは、ダボスとは地球の反対側にあるブラジルのポルトアレグレというところで同時期に開催されていた世界社会フォーラムと関係があります。こちらは持たざるものとその仲間たちのフォーラムで、2001年に最初に開催されたときには取るに足らないものと見られていました。が、回を重ねるごとに無視できない勢力になってきて、今年は10数万人も集まりました。今まで物申すことが少なかった農民や労働者それに先住民たちが集まって、この貧困をどうするのか、また貧困を作り出した勢力をどう規制し、変えていくのか、また平和をどうするのかなどを話し合っています。
このような世界社会フォーラムの力が、支配的指導者たちをして軍事主義から貧困問題へと変化せしめていると言えるのです。したがって、これから行おうとしているキャンペーンは、ここにいる私たちの何人かの運動ではなくて、すでに世界的にはこのような運動のうねりがあるということを事前に知っておくべきと思います。

3)日本政府への要求、貧困根絶にいたる様々な課題

 さて、貧困根絶で言えば、みなさんのマニュフェストでは政府開発援助(ODA)が中心となっていますが、しかし途上国では国家予算の30%−50%を債務(借金)の返済に充てなければならない状況にあることを理解していただきたい。これでは、国民のために金は使われず、貧困層は増加一方になります。日本政府は途上国の債務を帳消にしなければならないし、ODAを増額し、同時にODAの使い道に配慮し、直接貧困層に届くようにするべきだと思います。
 世界の貧困層を作り出したのは、経済のグローバリゼーションであり、これを推進している国際通貨基金(IMF)、世界銀行そしてWTOです。これらの組織のあり方の見直しが必要で、民主化させるべきという議論もあり、なくしてしまえという議論もある。また、貧困の対極にあるのが多国籍企業です。巨大な企業がますます儲けているというこの社会構造をどうするか。これらのことについて議論を重ね、その先に何があるかを考えてほしい。
いずれにせよ、貧困こそ諸悪の根源であり、いわゆるテロというものも貧困がなければ存在し得ないし、地域紛争と呼ばれているものもそうだと言えます。こういう根源に手をつけることが回り道のように見えるが、解決のための一番の早道であると確信しています。個人レベル、集団レベルで何が出来るか考え、日本政府、企業、国連やIMF、世界銀行やWTOなどの国際機関に対し何を提言しどう行動していくかということを議論していただきたい。

4)再び、債務返済による負担増
 諸悪の前提になっているのが債務です。貧しい国であればあるほど国家予算の30−50%をIMFや先進国政府への返済に充てなければならない。子どものためのワクチンを買う代わりにその金を返済に充てています。このことは、先進国やIMFは子どもの命と引き換えに金を返してもらっていることになりませんか。債務の帳消しはとても倫理的なことでありかつ合法的なことだと思います。
貧困をなくすためには、ヘッジファンド等投機的資金の規制や、IMF・世界銀行のあり方を変えること、一番恩恵を受けている多国籍企業を変えること等、これらのことを全体として考え、そしてODAが貧困層のエンパワメントに使われるようにすることが重要であるということを訴え、問題提起とします。

呼びかけ人会合

AJF 林さん

オルタモンド 田中さん

CSO 今田さん

CSO 黒田さん




立ち上げの集い
 

UNDP 弓削さん


JVC 熊岡さん

PARC 普川さん

大和証券金田さん

会社員滝沢さん

AJF稲場さん

A SEED 星野さん

連合熊谷さん 

オックスファム 山田さん
JVC 高橋さん
サステナ マエキタさん

CHANCE! pono2 内山さん

北沢さん

ACE 岩附さん